ネオニコチノイド規制の現状
“害虫”の神経組織を狂わせて駆除するネオニコチノイド系農薬とフィプロニル(浸透性農薬)は、昆虫にとどまらず広く生態系全体(人体)に悪影響を与える可能性が指摘されてきました。006年フランスでは最高裁の判決で一部の種類が使用禁止となっています。
その後、欧州連合(EU)では 2013 年末から 3 つのネオニコチノイド(イミダクロプリド、クロチアニジ ン、チアメトキサム)とフィプロニルの4 種に部分的な規制をかけ、その後、欧米だけでなく韓国やフィリピン、台湾などでも規制の動きが広がっています。
EU委員会は2018年3種のネオニコ農薬のハチへの毒性を確認し、永続的に屋外使用禁止を決定(3種以外のネオニコは安全とされたのではなく、農薬として未登録、もしくは1日の摂取許容量が日本より厳しく設定されたり、環境ホルモン作用の懸念物質とされ、今後規制される可能性があります。)
フランス国会両院は2018 年 9 月にネオニコチノイド系農薬を全廃する法案を可決しました。一方、 昆虫、鳥類、水陸の無脊椎動物などに加え、人間への被害に関する研究も始まっています。
日本におけるネオニコチノイドによる悪影響に関する調査、研究の現状
EU諸国や諸外国の対応と逆行するように、食品残留基準値を引き上げる、あるいは適応作物を増やすなど、規制緩和を進めてきた日本ですが、ここへきて日本の農業実態に合わせたネオニコチノイド系農薬の影響解明が必要だと認識されつつあり、官民双方で本格的な調査・研究の機運が見られてきました。
2018年8月に北海道大学などの研究チームが厚生労働省の支援を受けて、市販の日本産の緑茶とボトル茶飲料のすべてからネオニコチノイド系農薬を検出したことを研究論文で公表しました。
それによると、日本産茶葉39検体と、国内産ボトル茶飲料9検体から、それぞれジノテフランなど7種類と、6種類のネオニコチノイド系農薬が検出されたと言います。推定摂取量は、1日摂取許容量(ADI)より低いが、長期間、あるいは大量に摂取すれば健康への影響が懸念されると報告されています。
2016年夏には、「葉物野菜のネオニコチノイド系農薬残留調査」結果が発表されています。
一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト(abt)では、2014年に行なった米と茶葉の残留調査に続き、市場に流通する葉物野菜4種(こまつな、ほうれんそう、はくさい、レタス)の合計30検体について、ネオニコチノイド系農薬7種とフィプロニルおよびフロニカミドの残留調査を実施しています。東京、大阪、金沢のスーパーなどで検体を購入し、第三者機関に検査を依頼したものです。
その結果、全体の67%という高い割合で、4種類すべての葉菜からネオニコチノイド系農薬残留が検出されたと言います。いずれも日本の残留基準値以下でしたが、同じ検体に複数の農薬の残留が見られる割合も30%に達するなど、注意を要する結果となったと報告されています。
詳細はこちらをご参照ください。
https://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2016/10/abt16103101.pdf
また、コープ自然派団体は、2017年6月26日、農林水産省に、「むやみに農薬を使わないお米がいい!」という14,630人(うちコープ自然派組合員3,400人)の賛同の声を、秋田の米農家、長崎の養蜂家、NPOダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン他のみなさんと共に提出するという運動を実施しています。
署名の内容は、
◆ネオニコチノイド系農薬の使用を禁止すること
◆特に、生態系・水系への被害が大きい水田でネオニコチノイド系農薬を使用せずにすむよう、米の検査規格を見直し、斑点米の規定をなくすこと
詳細はこちらをご参照ください。
http://www.shizenha.ne.jp/coop/view/127/#neoniko
私たちの毎日の食生活で欠かすことのできないお米や葉物野菜、果物、そして日本茶にネオニコチノイドが紛れもなく残留していることは明らかです。これらの食品を摂取しないようにすることは難しいことでしょう。ほぼどの食品も量はともかく毎日摂取している物にほかなりません。これらを一生涯毎日摂り続けたとしたら、何らかの体への悪影響が現れる危険性は高いと思います。
すべての人が無農薬野菜や果物、あるいはオーガニックのお米やお茶を摂れるわけではありません。私たちが安心して食べれるように、政府がネオニコチノイドの規制や対策に本格的に取り組んでくれることを切に願います。
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