栄養療法は、1954年にノーベル化学賞、1962年にノーベル平和賞を受賞したライナス・ポーリング博士が提唱した「メガビタミン療法」に始まります。
カナダの分子整合医学の権威として有名な精神科医であったエイブラハム・ホッファー博士は、1960年代に「精神疾患は栄養欠損によって起こると提唱し、統合失調症やうつ病にナイアシンの摂取が有用なことを実証してこられました。
栄養療法とは、最適な食事摂取と栄養素の補完により、身体のアンバランスや代謝を改善することで、脳と身体にできるだけ最適、最良の生化学的な環境を作り出そうとするものです。
精神疾患に限らず、病気や体調不良の原因に栄養成分の欠乏が関与していることは明らかです。
微小ミネラル・ビタミン過不足 | 引き起こされる心身症状 |
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セロトニン不足 | 極度の神経過敏症、音に敏感、うつ病、精神不安定などの精神障害、慢性疲労 |
ナイアシン不足 | めまい、頭痛、疲労、痴呆、不眠、うつ、不安感、イライラ、精神異常。 |
亜鉛不足 | 無気力、無感動、精神不安定、疲労感、皮膚疾患、脱毛、薄毛、白髪 |
鉄不足 | 貧血、疲労感、頭痛、無力感、めまい、肌荒れ、湿疹 |
カリウム不足 | 神経過敏症、精神不安定、恐怖症、不安、高血圧、糖尿病、腎不全 |
マンガン不足 | ホルモン低下、糖質の代謝障害、エネルギー不足、うつ症状、イライラ、集中力低下、消化吸収不良、アレルギー |
マグネシウム過不足 | うつ病、偏頭痛、不整脈、パニック障害、強迫性障害、社交不安障害 |
葉酸不足 | 低血圧、遅脈、貧血、パニック障害、神経過敏、うつ病、虚脱感、痴呆症 |
糖質・脂質・たんぱく質過不足 | 特徴的な症状 |
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低血糖 | 攻撃的行動、うつ的衝動、引きこもり、性格の異常化、感情の抑制ができない、完璧主義、幻聴・幻覚、朝起きられない、慢性疲労、物忘れ、動機、甘いものが無性に食べたくなる、手足の冷え・ふるえ、めまい、肥満など |
フェルニアラニン不足 | 記憶力の減退、うつ状態、多幸感の欠如、筋硬直を起こす。 |
チロシン不足 | 記憶力減退、やる気がなくなりうつ状態に。イライラ、憂うつ、慢性疲労を起こす。 |
グルタミン酸過不足 | 記憶、学習、認知に関して低下を起こす。神経が高ぶり神経症、幻覚などを引き起こし統合失調症に繋がる。 体のだるさ、無気力、疲労感などを引き起こす。 |
トリプトファン過不足 | 気分が沈み精神が不安定になる。疲れやすく、体がだるく何もする気がしなくなるのでうつ病に繋がる。不安が強くなったり興奮して切れ易くなる。 |
EPA・DHA不足 | 子供の脳の発達を遅らせる。脳の回転が集中力が低下し、学習成果が上がらない。気分の落ち込み、イライラなどを起こす。動脈硬化など、生活習慣病のリスクが上がる。 |
ホルモン過不足 | 身体症状 |
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ドーパミン過不足 | 不足は、うつ病やパーキンソン病。過剰は、統合失調症、パニック障害、強迫など社会不安障害を起こす。 |
コルチゾール過剰 | 脳の血流が悪くなる、脳全体の機能低下、記憶障害、うつ状態、不安障害、PTSD、血糖値上昇 |
健康維持に不足した栄養素を補給する
健康を維持していくには、食事から摂る栄養成分が非常に重要であり、欠乏からくる病気や症状の改善にも大いに有効であることがわかっています。
私たちの身体を作っているのは栄養です。食事によって体内に取り込まれた栄養が組織や器官に送られ、細胞の隅々にまで行き渡ってこそ、それぞれの臓器や器官が持ち場の重要な役割を果たしてくれるのです。
また、現代人は過度なストレス下にさらされています。
不規則なライフスタイル、乱れた食生活、アルコール、タバコ、有害化学物質や大気汚染、さらには、電磁波や放射線など、体内の栄養素を消耗させる原因は身近にあふれています。
こうした生活環境にいる私たちにとって、各自が必要に応じて自らに必要な栄養素を知り、それを補うことで、不快な症状を改善したり、病気予防に役立てていくこと、つまりは、セルケアがますます必須となってくることでしょう。